“信じる者は救われる”を科学的に説明すると
“信じる者は救われる”
細かい言葉や言い回しは違っていても、この様な事を言っている宗教は多くありますよね。
そして神や宗教を信じる人が救われる現象は、実際に起きる事が有るそうです。
まあ、“信じることで気持ちが楽になる”という様な精神的なものや、あるいは“死後に天国に行くなどして救われる”という様な実証不能なことは除くとして、信じることで実際に怪我や病気が治ってしまうという、実に不思議な現象が結構起きるそうです。
今回はこの現象について、科学的に説明してみましょう。
特定の神や宗教を信じる事で、怪我や障害、ガン等の難病が治った事例が実際に多く存在します。
なかには信じている宗教の教祖様が祈っただけで治った、なんて話も有るそうです。
これには医師も驚くしかありませんが、実際に起きている現象である以上認めるしかありませんね。
宗教の世界ではこれらの現象の理由を“神の力”などと説明していると思います。
そして患者は感謝の気持も相まってより一層信仰心が深まり、より治癒効果が高まると言った循環に入るのでしょうね。
ですが、実はこの現象は科学でも説明可能です。どっちが正しいかとかではなく、科学でも説明が出来るのですよ。
人間の体には“プラセボ効果”(又はプラシーボ効果)と呼ばれるものを起こす機能が備わっています。
これは具体的には、頭痛がひどい人に「よく効く頭痛薬だ」と言って、偽物の単なる小麦でできた錠剤を飲ませると、実際に頭痛が治まることがあるといった現象を言います。
これは痛みにも効きますし、抗精神薬などは特にプラセボ効果が強く起きるとされています。例えばうつ病の薬なんかは、偽物でもかなりの人の症状が改善するそうです。
そのために抗精神薬の解説書なんかには大抵、“対プラセボ比”のような項目が入っていて、これは偽物の薬を飲ませた患者と比べて、本物を飲んだ患者がどの程度優位に症状が改善しているかを示すものです。
催眠術にかかった人が梅干しを食べて「甘い」と言っているシーンなんかを見ればわかると思いますが、人間の脳は結構いい加減に出来ているのですよ。脳にとっての現実というのは結構主観的で、曖昧なのです。
そのため“思い込み”の力はとても強く体に影響を与えるようです。そして自分が信じる教祖や神が患者に「治った」と心の底から信じ込ませると、プラセボ効果で本当に治ってしまうことが有るのですよ。
特に頭痛などの痛みをプラセボ効果で取るのは極めて容易だと言われています。
その他にもプラセボ効果でがん細胞が減ったりすることも有るので、人間の脳と体の機能の関係はとても不思議ですね。
ですがこの人体の機能は悪用することも出来ます。
実は人体には “ノーシーボ効果”と呼ばれるものを起こす機能も内蔵されているのです。
ノーシーボ効果はプラシーボ効果の逆で、小麦粉でできた無害の薬を飲んでも、それを猛毒だと信じさせると被験者が実際に苦しみだしたり、死亡するような現象です。
実はノーシーボ効果については、“ブアメードの血”と呼ばれる有名な実験が存在します。
“ブアメードの血”とは、第二次世界大戦前のヨーロッパで行われたとされる実験で、内容については以下の通りです。
まず死刑囚に目隠しをして医師が、「人間は全血液の10%を失うと死亡する」と説明した後に、ベッドに横たわらせて足先を小さく切開する。そしてその下にバケツを置いて血が滴り落ちる音を、音が大きく反響する部屋で死刑囚に聴かせる。ところが実際には少し切開しただけなので出血はすぐに止まっており、バケツに滴り落ちる血の音はただの水を垂らす音であるのだが、死刑囚は見る見るうちに顔が青ざめていき、医師が「出血が全血液の10%を超えた」と言った際にその死刑囚が死亡したというものである。(ただしこの実験が本当に行われたという証拠は見つかっていない)
つまり“思い込みの力”で、時に人を殺すことも出来てしまう可能性が有るのです。
という事は、、、
逆に宗教を信じている人に「神が怒ってお前を殺す」だとか、悪魔を信じている人に「悪魔がお前を殺す」と本気で信じさせると、実際に死亡する可能性だって有るということですね。
よってこれは使い方によっては極めて危険でしょう。
ちなみにプラセボ効果にしてもノーシーボ効果にしても、その具体的なメカニズムは医学的にはまだ完全には解明されていないはずです。
つまり今のところは同じ現象を説明するために、宗教を使った説明と科学を使った説明の二つのアプローチが存在していることになりますね。
ちなみに私が考える物理学を使った説明については、いずれまた書くつもりです。
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