旧統一教会への解散命令はとても危険


昨今は国による旧統一教会への解散命令の件がニュースなどで話題になっていますね。
そんなわけでたまにはタイムリーな話題でも取り上げてみましょうか。この件は意外と重要ですので雑談の項ではなくこちらにしました。

皆さんはこの政府による解散命令についてどう思いますか?
恐らくは、旧統一教会の関係者でもない限り殆どの人がこの決定を支持するかと思われます。
しかしながら私は、少なくとも今すぐ解散命令を出すことは不適切であり、もっと慎重に時期を見極めた方が良いと考えています。
その適切な時期を具体的に言うなら、ほとぼりが冷めて国民が旧統一教会の存在を忘れた頃が良いでしょう。

始めに断っておきますが、私個人としては昔から旧統一教会については好きではありませんし、また旧統一教会の肩を持つ気も一切ありません。
ですがそれと国がこの時期に解散命令を出すことに対する賛否は別の話です。

旧統一教会についてはずっと昔から(私の記憶では90年代前半頃から)色々な問題点が指摘されていましたが、何故今になって急に解散命令を出したのでしょうか? どちらかというと昔の方が被害の程度が酷かったとされているのに、です。

今頃になって解散命令が出された理由は誰がどう見ても一つしかないでしょう。
明らかに、昨年の安部元総理の暗殺がきっかけになっていることは間違いありません。
実際に犯人の山上容疑者が、旧統一教会に恨みがあったと供述してから途端にマスコミによる旧統一教会に対する批判が始まりましたね。
また自民党の議員と旧統一教会との癒着についての批判も、この事件以後に突然始まりました。

あまり長くならないように簡潔に書きますが、世界では「テロリストとは交渉しない」ことが常識となっています。要するにテロリストの要求を飲むことはしません
その結果として、たとえ多くの人命が奪われる可能性があったとしてもです。(だからダッカのハイジャック事件では日本は世界中から批判された)

理由は良いですね? テロリストの要求をのむ国は、それ以降もテロの対象にされるからです。
ええ、

「テロという手法が通じる国」

なのだとテロリストらから認知されるからです。
そうなると結果としてその国は以後も永続的にテロのターゲットとなり、逆に被害者が増える事になるでしょう。
だから国は犠牲者を出したとしても、涙を飲んでテロリストの要求を突っぱねるのです。

世の中には多くの人を不幸にする組織や団体というものが多く存在しています。
これは宗教法人だけでなく、昨今では(旧)ジャニーズ事務所も話題になっていますね。
ですがそれらが力を持っていたりすると、メディアで取り上げられることもなければ個人で戦うことも出来ません。また殆どの国民が興味がない問題ならば、そのまま放っておかれるだけでしょう。

しかしながら旧統一教会と安部元総理暗殺の件は、一つの前例を作ってしまったわけです。
つまり、

「有名人を殺せば自分の話を皆に聞いてもらえ、恨みのある組織を潰すことが出来るのだ」

と。

実際にもし安部元総理暗殺の件がなくても、旧統一教会に解散命令が出ていたと思いますか?
間違いなく出ていないでしょう。旧統一教会なんて昨今では忘れ去られていて、誰も興味を持っていませんでした。
よって山上容疑者は安部元総理を殺すことで、結果的に自分の目的を完璧に果たすことが出来たのですよ。

安部元総理の暗殺は「目的を達成するために当事者(旧統一教会)以外の人を殺す」という意味で大きく括れば、テロ行為だと言えるでしょう。
逆にもし殺されたのが安部元総理ではなく(当事者である)旧統一教会の代表だったら国から解散命令が出ていたと思いますか?
それはまずないでしょう。それどころか下手をしたら旧統一教会に同情する意見が出た可能性も有るし、日韓関係を考えて山上容疑者への批判が今よりずっと凄かったのではありませんか?(と言うか、犯人である山上容疑者への批判ってあまり聞きませんよね?)

つまり今回の旧統一教会に対する解散命令は、日本という国に於いて

「テロという手法がいかに有効か」

を証明してしまったことになるわけです。(この一年のマスコミの反応を含め)

ならば当然、今後も似たような事を考えてテロ行為をする人物が現れると考えるのが普通です。
そもそもテロ行為をした者が、結果として自分の要望をベストに近い形で叶えることが出来るというのは極めて不適切なことです。
ええ、第二第三の山上容疑者を生む可能性があるので。

これが「旧統一教会へ解散命令を出すとしても、その時期については慎重に」と私が考える理由です。
言うまでもなくこれは、上記のテロリストと交渉しないポリシーと同様の理屈です。
そしてこれが私が、安部元総理暗殺と旧統一教会の件のほとぼりが冷めて国民が忘れた頃にこっそり解散命令を出すのが良いと考える理由です。
ええ、テロと解散命令が直結しないようにするのです。

でなければ本当に今後、同様のモチベーションによる事件が起きる気がします……。


以下は蛇足ですが、旧統一教会についてはマスコミなどで「悪質な霊感商法が問題だ」とされていましたね。確かに私もそう思います。
ですが私に言わせれば、宗教というのはどれも似たよう物を含んでいるのではないでしょうか?
宗教団体というのは国によって”科学的な根拠を必要としないこと”を認められている唯一の組織と言っても良いでしょう。言ってみれば「何でもあり」なのが宗教です。

私はキリスト教の葬儀については詳しくありませんが、例えば仏教系の葬式ではお坊さんにお経をあげてもらうためにお金を払いませんか?
「お経をあげないと成仏出来ない」などという理屈で。

また死者に「縁起の良い戒名を与える」などと言って、バカ高い戒名の名づけ料を取られていませんか? しかも戒名にはランクがあって、ランクごとに金額が違ったりして……。
これだってどう考えても霊感商法の一種と考えられるでしょう。

要するに程度の問題であって、伝統的な宗教だって霊感商法は行っているのですよ。だってそれが宗教ですから。

以上、旧統一教会への解散命令をニュースで見て私が感じたことでした。


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