アインシュタインはニュートンの理論を覆したのか
16世紀にアイザック・ニュートンが構築した“古典力学”と言われる理論があります。
アインシュタインが現れる時代までは、これが力学の全てでした。
その中でも特に有名なものは、“万有引力の法則”でしょうか。つまり、重力の法則ですね。
これにより地球上の重力から月や惑星の運動までを、たった一つの式で説明できるようになったのは、前述のとおりです。
しかしながら後にアインシュタインが新たな重力の理論を構築しました。それが“一般相対性理論”です。
これにより、「ニュートンの理論が覆された」だとか「ニュートンの理論が間違っていたことがわかった」という説明をたまに見ますが、その説明は間違いでしょう。
なぜならむしろ、アインシュタインの一般相対性理論はニュートンの理論が日常的な重力の説明においては、いかに正しいかという事を証明したと言えるからです。
とても簡単に言うと、アインシュタインの作った画期的な重力方程式は、惑星の運動なども含め我々が日常的に観測する重力においては、ニュートンの方程式と全く同じになるのです。
実際に初めて月面着陸を果たしたアポロ11号が、そのミッションにおいてニュートン力学しか使わなかったことは有名です。
なのでどう考えてもニュートンの理論を「覆した」と言うよりは、「正しいことを証明した」と言えるでしょう。
ただし……。、です。
巨大な質量を持つ太陽の近くの水星や、ブラックホールなどの極端に重力が大きい特殊な場所ではニュートンの式を拡張しなければいけないことが判ったのです。
つまり、ニュートンの式はアインシュタインの式に含まれるのです。この例の様なより汎用な理論を、”上位互換の理論”と言うことにしましょう。
アインシュタインの理論には全てのニュートンの理論が含まれますが、その逆はありません。ニュートンの理論に有ってアインシュタインの理論に含まれないものはないのです。
上位互換という概念は、元々はパソコンやスマホなどのコンピューターの世界で良く使われるものです。
例えば、Windows10 は Windows8 の上位互換です。これは Windows8 の機能は全てWindows10 に含まれるということです。
よって当然ながら Windows8 で動くアプリは全て Windows10 で動きます。
ですがその逆はありません。Windows10 にしか無い機能があり、Windows10 でしか動かないアプリが存在すのです。
Windows8 を拡張したものが Windows10 なのですから、これは当たり前ですね。
もし物理理論をコンピューターソフトで例えるなら、ニュートンの理論が Windows8 でアインシュタインの理論が Windows10 になります。
この”上位互換”や”拡張する”という概念が、物理学ではとても重要です。
そして今現在存在している、全ての物理理論の上位互換にある、たった一つの理論を多くの物理学者たちが探し求めています。
そんな理論が本当に存在しているのかどうかも分かりませんが、多くの物理学者たちが存在していると信じているんです。
続く……。
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