引き寄せの法則と量子力学


少し前に話題になった「引き寄せの法則」について私の考えを書いてみましょう。

引き寄せの法則が単なる自己啓発の話でしたら特に私は何も思いませんし、取り上げることもなかったと思います。
ですが引き寄せの法則は往々にして、その論拠として量子力学をあげており、量子力学を元にした説明をしているのですよ。そうなるとまるで物理学が引き寄せの法則が正しいことにお墨付きを与えているように捉えられるので、本記事を書こうと思った次第です。

因みに私はこの本自体は読んでいません。内容はネットで大まかに知ったものなので、今回は主に語られている以下の点について考察してみます。

・人間の思考は現実化する
・ポジティブな思考をしていると、ポジティブな結果を引き寄せる

意外に思うかも知れませんが、私は上記の現象自体は起きる可能性があると考えています。しかしながら、その根拠として量子力学を用いる説明をすると途端に嘘っぽく聞こえてしまうのですよ。

量子力学は今までに述べてきたように確かに人間の“観測”という行為が事象を決めると言っていますね。そしていつ、何を観測するかを決めるのは人の意志だから、確かに人間の意志によってあらゆる事象が決定しているとも言えるかもしれません。
今までに観測が対象に与える影響の例として、二重スリット実験やシュレディンガーの猫の話などを書いて来ました。

しかしながら同時に、人間の意志に出来ることは例えなら「回っているルーレットを止めることだけ」であって「出る目までは決められない」とも書いて来ましたね。
つまり「シュレディンガーの猫」の思考実験の例ならば、観測者の意志は猫の生死を確定することは出来ても、生か死のどちらにするかを決めることは出来ません
もしそんなことが出来るのなら、100回連続でコインを投げたときに人の意志の力で全て表を出すことも出来ることになります。ですが当然ながらそんなことは不可能ですね。

どんなに念じたところで、結果は数学的な確率だけで決まります

つまり人間の観測という行為は結果を確定することは出来ても、その内容までは決められないというのが物理学の説明です。
よって量子力学を根拠にして「思考したことが何かを呼び寄せる」という説明は明らかに不適切でしょう。

またこの手のスピリチュアル系の説明にはいつも「波動」だとか「エネルギー」という言葉が出てきますね。ですがこれらはどちらも物理学の分野の言葉です。

もしこれらの説明が量子力学を根拠とするならば、ここで言う波動とは「シュレディンガー方程式」の波のことを指しているのだと思います。
ですがこの波は物理的なパラメータのみによって決まる波なので、そっち系の人が「○○すると波動が高まる」と言っても一体何が高まるのかが良く判りません。一般に海などで「波が高まる」というと振幅のことを指すので、これは振幅が大きくなるという意味でしょうか?

ですがシュレディンガー方程式の振幅はその二乗が、そこで粒子が発見される確率を表わしていることは判っていますが、ここで使う「波動が高まる」とはどういう意味なのでしょうか? いずれかの場所で粒子が発見される確率が上がるのですか?

またエネルギーという言葉も物理用語ですが、エネルギーにはいくつかの種類があります。
例えば運動エネルギーや位置エネルギー、熱エネルギー、電磁波のエネルギーなどがありますが、ここで使う「人が持つエネルギー」とは何のエネルギーを指すのですか?
「エネルギーが高まる」と言ったときのエネルギーとは何のエネルギーを指すのですか?

いや、別にスピリチュアルの世界に物理的な根拠は必要ないと思われますが、ならば量子力学を根拠にしているような説明は避けた方が良いと思います。でないとまるで科学的な根拠がある説明だと誤解する人が居ると思うので……。

別に私は人間の意志が波動関数に影響を与えることはないと言っているわけではありませんよ。ですがもしそれが本当に正しい事を証明出来るならば、是非とも物理学の手順に則った実験を行い、そしてそれを説明する仮説(理論)を作って論文にして発表して下さい。
きっとノーベル物理学賞が取れるはずです。

少なくとも私の知る限り(量子力学を専門に扱っている)素粒子系の物理学者でそんなことを考えている人は誰も居ないので、意外と今がチャンスかも知れませんよ。

因みに私の勘では、物理学で引き寄せの法則を説明することは不可能だと思っています。
引き寄せの法則は仮に正しいとしても、現在の科学ではおそらく脳の機能の話になると思います。

例えばプロ野球選手になりたいと強く願う子どもが居たとしましょうか。この子が強く願うだけで全く野球をやらずに大人になることは考えにくいですよね?
プロ野球選手になりたいと強く願うのなら、普通は野球部に入って本気で練習するはずです。つまり人は願いを叶えるための行動をするものなのですよ。だから結果として願いが叶う確率が上がるのです。
逆にどれだけ強く念じていても、野球の練習を一切やらずにプロ野球選手になることは有り得ません。

ですがこんな説明ならば量子力学や脳科学以前の、当たり前の話ですね。

同様にして確かにプラス思考の人や楽観主義者が成功しやすい傾向は実際にあるでしょう。
但しそれと量子力学は関係ありません。これが現在の物理学の回答です。


と書いておきながらですが、、、こんな結論ではつまらないですよね? ええ、こんな結論ならばわざわざこの話を取り上げません。
私自身は引き寄せの法則に近いものは存在するかも知れないと考えています。但しそのためには必ずいくつかの条件が必要となります。

まずは

結果に科学的な矛盾が生じないこと

です。例えば上記の、コインが100回連続して表が出るような現象は数学的に矛盾しますね。
その他にもいくら強く願っても人は重力に逆らって空を飛べませんし過去に戻ることも出来ません。

しかしながら科学的に矛盾しない範囲内で、人の意識がある出来事が起きる確率を上げることは有り得るのではないかと考えています。
今までに人間の意志が量子に影響を与えると捉えられる現象をいくつか紹介してきましたが、更に面白いものを紹介しておきましょう。
何れも乱数発生器のお話で、世界的に大きな事件やニュースが起きたときに乱数発生器が出す数値が偏るというお話です。
これがもし本当だとしたら、これは完全に現代の科学の外にあるお話となるでしょう。

https://youtu.be/Js_-Y7D-0Gk?si=mLECNQB3rmvZLnd9

https://youtu.be/NRknWcHBsUw?si=snWuIK-7RAvXcZgm

因みに乱数の話は今までにも何度か書いていますが、それは私は乱数こそがダイレクトに真理に繋がるキーだと思っているからです。
少なくとも現時点に於いてこの様な乱数発生器の異常については、物理学はその理由を解明出来ていません。ですがこれらの現象は単なる偶然とは考えにくく「何かがある」気がしませんか?

上記のノーベル賞云々という話は決してイヤミなどではなく、本当に出来ることならやって欲しいと私は思っているのですよ。
何故ならプロの物理学者らはこの手の話題を極端に嫌うため、その解明については全く期待出来ないからです。

因みに現在の私は、その解明はきっと物理学には不可能であり、VR解釈に基づくメタフェイスが必須だと考えています。
そして今回取り上げた、意志と事象の話題は実はとても重要な事なのですよ。

VR解釈は仮にそれが正しかったとしても、それだけでは何の役にも立たないことは今までに述べてきましたね。
しかしながらメタフェイスは科学と宗教の上位互換であるだけでなく、それを人々の役に立てるものです。
分かりやすい言葉で言うならメタフェイスとは、「この世界」という名の

VRゲームの攻略本

なのですよ。
どうですか? 少しはわくわくしてきましたか?

その具体的な内容については人類2.0に向けたプロジェクトとして、これから書いていく予定です。


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