SF小説の社会的な役割とは?
私は今までに小説を八作品ほど書きましたが、一作品を除いてその全てが”SF(サイエンスフィクション)小説”と呼ばれるジャンルとなります。
因みにSF小説といってもその中にもまた様々なジャンルがあって、例えば魔法使いが出てくる作品や異世界もの、その他にもタイムマシンやタイムトラベルが出てくる作品もジャンル的にはSF小説ですね。
数多くあるSF小説の中でも私が書くもののジャンルは“ハードSF”と呼ばれるもので、科学的に荒唐無稽な作品と言うよりは科学に忠実なフィクション作品です。
私はそれらの小説のことを上記のファンタジー系の小説と区別して、“科学小説”と呼んでいます。
今回書く話は全てこのハードSFのことだと解釈してくださいね。
さて、世の中には数多くのSF小説が存在してますね。その内容はもちろん様々でありクオリティーもピンキリですが、SF小説にはとても大きな社会的役割があると私は考えています。
今回はその役割の中で最も重要だと思う事について私の考えを書いてみましょう。
はっきり言って科学技術、つまりテクノロジーの進歩のスピードというのは人間のイマジネーションと比較するとかなり遅いのです。
例えば80年代の頃に殆どの人が描く2022年の像は、ガソリン自動車が地上の道を走り、皆が満員電車で通勤している社会ではなかったと思います。それは当時のSF映画を見れば分かるでしょう。
私もそうでしたが、2020年代なんていったら宇宙旅行が普通に行われていたり、人型ロボットが働いていたり、空飛ぶ車が走っているドラえもん未来のような社会をイメージしていたことでしょう。
そしてそれらのイメージはSF作品によるところが大きかったはずです。
つまり、SF作家のイマジネーションは常にテクノロジーよりも進んでいなければなりませんし、実際に進んでいるのですよ。よってSF小説では近未来が描かれることが多いはずです。
そして優秀なSF作家はその科学の知識と精密な思考力により、実際に近未来に訪れるであろう社会を想像して描くことが出来ます。
これは文学のジャンルでありながら、極めて理系的な思考力が求められるジャンルなのですよ。
ではこれらハードSF小説の存在意義とは何なのでしょうか?
もちろん、ただ単に面白いという事だって重要な要素でしょう。娯楽ですから極端な話、面白ければOKな世界でもあります。
しかしながらSF小説にはそれ以外の重要な役割があると私は考えます。
その役割とは、
将来来るであろうテクノロジーが進歩した社会のための準備を、人々にさせること。
なのですよ。例えばAIを搭載した無人機による戦争、ゲノム編集やクローン技術。これらはかつてはSFでしたが、現代に於いてはフィクションではありません。しかしながら我々の準備が出来ていたかと問われるとかなり疑問でしょう。
(逆に宇宙人と接触する心の準備は十分に出来ていそうですね(笑))
そしてAIの進歩がもたらす人間の労働の消失や、ベーシックインカムもやがて現実となることでしょう。
SF作家はそのイマジネーション力で近未来に実際に起きるであろう社会問題をも予測して書くはずです。
そして現代を生きる我々はテクノロジーが進歩したその時代が現実に来る前に、十分にディスカッションをしておく必要があるのです。それが“未来への準備”となるのですよ。
クローン技術やゲノム編集については、はっきり言って今まで議論不足だった感が否めません。
私がSF作品にこだわっているのもそれが理由です。
因みに本サイトは小説ではありませんが、近未来の事を書いてきたしこれからも書くことが多いと思います。
それもまた似たようなモチベーションによるものです。
実際にスマホやネットやSNSの普及、遺伝子組み換え作物など、社会が準備をする前にテクノロジーが先に来てしまった例がどれ程多いことか。
本来ならば、今後来るであろうテクノロジーが社会に導入されたときにどのように対応するべきか、どんな規則を作るか等の準備をする専門の学問や職業があるべきだと私は考えていますが、実際にそれらが作られる気配はありません。
なので現在に於いてその役割は、SF作家が負ってしまっているわけです。
さて、話は変わりますが、私は今までに書いたSF小説のいくつかを公開しようかと考えています。
まずはこちらに公開したような短編作品から、Amazonを使って安価に販売することも考えていますので、興味がある方はお楽しみに。
そして是非皆さんも、来るべき未来のためにディスカッション&準備をしておいてください。これからの世界は短期間でビックリするほど大きく変わることが確実に分かっていますが、それに順応できない人々が膨大に出てくると私は考えています。
変化の詳細についてはまた追って書いていきましょう。
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