好きなことを仕事にするべきか、得意なことを仕事にするべきか
パソコンの入れ替えに伴いバタバタしていて記事の更新が遅れていましたが、これからは少しペースを上げて行く予定です。
さて、季節的にこの時期は色々な選択をしたり、新しい生活に備える時期ですね。
まあこの一年はコロナウィルスのおかげで普通の生活は出来ませんでしたが、3月というこの時期に合った話をしてみましょう。
好きなことを仕事にするべきか? 或いは得意なことを仕事にするべきか?
これは永遠のテーマかも知れませんね。そして世間一般には、好きなことを仕事にできている人は、極めて少数でしょう。
今回は結論から先に言いましょう。
仕事(職業)となれば、好きなことではなく得意なことを選ぶ事をお勧めします。長期的に見れば、その方がきっと幸福度が高くなるでしょう。
では解説です。
子供の頃や学生時代には、例えばプロ野球選手になったり歌手になることを夢見ることが多いですね。今回は例としてこれらを挙げてみましょう。
「野球が好きだから」「歌うことが好きだから」それを仕事にできたらどんなに素晴らしいだろう、と考えるのはとても自然なことです。では実際にそれらを職業にした人はどう思っているのでしょうか?
例えば、プロ野球選手になりたい人ならば誰もが憧れるであろうイチロー選手はこう言っています。
「プロになってからは、野球が楽しいと思ったことは一度もない。感じるのは痛みと苦しみだけだった」
つまりイチロー選手が“野球をすること自体”を楽しめたのは、高校時代までだったようです。意外ですね。
歌手は芸能人なのであまり本音を語りませんが、歌うこと自体を楽しんでいるかと言えばこれまた甚だ疑問だと思われます。
例えば有名歌手が(ライブ)ツアーの前にプレッシャーで声が出なくなったりする話も聞きますし、常に風邪をひいたり喉を痛めないように気をつけなければいけません。
万が一体調不良でライブを休もうものならば、それはそれは大勢に大変な迷惑がかかりますからね。
また歌っている最中にも歌詞がとんだり音を外す不安が常にあるそうですよ。
誰もが憧れる紅白歌合戦に出場した歌手だって、覚えているのはストレスとプレッシャーだけで、「歌っている時の記憶なんて無い」と言っている人もいます。
プロ歌手の彼ら、彼女らは常にプレッシャーやストレスと戦っているのです。
そのためかプロの歌手でも気晴らしにプライベートでカラオケに行く人が結構いるそうですよ。これも意外ですね。
つまりプロになるということは「そういうこと」なのです。純粋に野球をプレーすることや歌うことを楽しんでいる人は、一流のプロには殆どいないようです。
そもそも野球が好き、歌が好きだからプロになるという発想自体が素人のものなのですよ。
“好きこそものの上手なれ”とは言いますが、好きの延長線上にプロの世界があるわけではありません。
ではプロはただ辛いだけならば、何故やめないのでしょうか?
もしかしたら誤解させてしまったかもしれませんが、プロの人達の幸福度はとても高いと思われます。
ただしそれは、仕事の内容自体が楽しいからではありません。仕事をすることによって多くの人々を満足させたり、助けたり、楽しませたり、そして時に多くの人々から感謝されること。
それこそがプロである彼らの大きな喜びとなり、きっとどんなに辛くても仕事をやめない原動力となっているのでしょう。
イチロー選手も現役引退の日に多くの人々から感謝とねぎらいの言葉、そして喝采を浴びた時にはじめて、最高の幸福と喜びを感じ、記者会見で「今日は人生最高の日」「(プロ野球人生に)後悔などあろうはずもない」と言ってのけたわけですから。
つまりプロは素人とは、全く別の種類の喜びや幸福感を得ているのです。
言っていることがわかりますか?
つまりプロは仕事自体ではなく、仕事を通じて人々の役に立ち、その感謝の気持ちを人々から表現された時に最大の楽しさや喜びを感じるのです。
(これは幸福の話と似ていますね)
この姿こそが本当のプロの楽しみ方です。逆に仕事の行為自体を楽しむのは“趣味”といいます。
なので「カラオケが好きだからプロの歌手になろう」と考えるのとは、プロのマインドセットとは天と地ほど異なるわけですね。
ではプロの歌手になれるのはどんな人なのでしょうか?
「自分は歌が好きかどうかはわからないが、どうやら自分の歌には人の心を打ったり感動させる何かがあるようだ。ならばもっと訓練を積んで出来るだけ多くの人に自分の歌を届け、その感動を届けてみたい。そして自分にしか伝えられないことが明確に有るから、それを一人でも多くの人に伝えるんだ」
恐らくこのように感じ、そして考える人が、プロに向いているのだと思います。
今回は分かりやすい例としてスポーツや芸能を挙げましたが、これはどんな仕事についても同様です。
好きかどうかは一旦置いておいて、皆さん、それぞれ何か得意なことがあるはずです。
人にものを教えるのが得意だとか、機械を設計するのが得意だとか、商品の良さを説明するのが得意だとか、etc……。
たいして好きではないとしても、得意なことを仕事にするときっと幸福度が高い人生を送ることが出来るはずです。
得意な事というのは誰にでも出来るものではありませんから、その業界ではあなたは貴重な存在なのです。
ええわかります。この考え方についてはきっと納得できない人も多く居ることでしょう。
でも一度、自分にしか出来ない仕事をし、客や、広い意味でのクライアントから感謝される経験をすれば、私の言っていることがわかるはずです。
ぜひ実験してみてはどうでしょう?
好きなことは是非趣味にしてください。趣味ならば行動自体を心の底から楽しめます。上記のカラオケに行くプロ歌手のように。
職は得意なことにしてください。その方が本人はもちろん、周りの多くの人々を幸せにすることでしょう。
そして最後にもう一つ、大切なものがあります。
仕事でも趣味でもないもう一つのもの。
お金を稼ぐことや好き嫌いとは全く関係なく、また人々の為になるかどうかさえも関係ないと敢えて言いましょう。
それは”自分が何をするために生まれてきたのか”から導き出されるものです。
そのもののことを私は、
“本業”
と呼んでいます。これはとても見つけるのが難しいですが、もし見つけることが出来れば極めて人生が充実し、幸福度も上がるものです。
孔子が書いた“論語”の中に以下の様な文言があります。
”朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり”
“朝”は“あした”と読み、現代語で言えば“明日の朝”という意味です。つまり明日の朝に道を知ることが出来たなら、その日の晩に死んでも悔いはない。そんな意味の言葉ですね。
この言に対しては様々な解釈があるようですが、私はここで言う“道”こそが、私の言うところの“本業”だと考えています。
まあこの話はとても難しいので、また改めて書くことにしましょう。
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