何のために数学を学ぶのか
「何のために数学を学ぶのか?」
この問いは子供だけでなく、下手をしたら高校生、いえ、文系の大学生や大人でも真面目に問う人がいますね。
私は政治家やテレビに出る有識者が「普通の人は、数学を学ぶ必要なんてない」と本気で言っているのを何度も聞いたことがあります(笑)。
この問いは、私も小学生の頃に母や教師に尋ねたことがありました。
文系の大学出身の母は「頭の体操だ」と言っていました。数学を学ぶことは”数学的な思考をする訓練”だと。
学校や塾の先生は「入試に出るからだ」と言っていました(笑)。
冗談でもなんでもなく、これが日本の実情だったのですよ。
では実際には、何のために数学を学ぶのでしょうか?
四則演算などの小学校で習う“算数”なら、お金の計算なんかで必要そうです。
でも“数学”を学ぶと将来なにか良いことがあるのでしょうか?
結論はとてもシンプルです。
それは、
「この世界は全て、数学で出来ているから」
です。え? 意味がわからないって?
この世界というのは”この宇宙”のことで、当然その中には地球上の全てのもの、人間の体や脳を含め、それら全てが数学で出来ているのです。これはディープラーニングって本当は何が凄いのかに書いたとおりなのですよ。
野球の選手が「なぜ野球のルールを学ばないといけないのか?」なんて疑問を持ちませんよね?(笑)
それと全く同様です。我々の世界は、全て数学のルールでできているのです。現時点で、数学に反するものはまだ発見されていません。これからもきっと発見されないでしょう。
一見、全く無秩序に見えるもの、例えば空に浮かぶ雲の形や山の形。植物の形。これらだって実は全て数式で表せるのですよ。
そして物理法則はすべて数学を使って表します。というより、数学を使用して世界の法則を説明することが物理学の定義です。
でも実際に数学が何の役に立つのか?
そんなものは科学者や技術者だけが知っていれば良いのではないか?
そう考える人もいるかも知れませんね。
では例えばコンビニやスーパーの店長には高度な数学の知識は必要ないと思いますか?
何度も言いますが、この世界は「すべて数学でできている」のですよ。これは詭弁でもなんでもなく、文字通りそうなのです。
例えばスーパーマーケットで品物をどの様な順番で置くと一番売上が上がるのか、なんてことも数学で計算できてしまいます。ええ、多くの人が知らないだけです。
きっと店長がその数学を知っているお店は繁盛し、知らないお店は競争に勝てずに潰れていくんでしょうねえ。(ん?内容をタダで教えろって?(笑) このケースならばヒントは”相関関数”ですかね)
それでもまだ言いますか? 科学技術者以外の普通の人は数学なんて必要ないと。
「数学なんて何に使えるのか?」ではないのです。
「あなたは数学を何に使うのか?」なのです。全ての事に数学は使えるわけですから。
今回の内容は、はじめに書いたプロジェクトに大いに関わる極めて重要な内容ですので、理解してもらえると嬉しいです。
スポーツでも学問でもなんでもそうですが、最もつまらない学び方は、その目的を教えずに手段だけを訓練させることです。
例えば、誰かが野球部に入ったとして、始めはランニングしかさせてもらえなかったとしましょう。
そしてランニングをしただけで「野球なんてつまらないから辞める」と部員が言い出したらどう思いますか?
きっと「いや、君はまだ野球をやっていない」と言いたくなるでしょう。
彼らに実際に先輩たちがプレーする野球を見せて、そのプレーのためには足腰を鍛える必要があって、今はランニングをしているのだと目的を言えば部員のモチベーションは全く変わるはずです。
これは数学や物理学においても全く同じです。
目的を教えずに手段だけを訓練させるのは拷問に近く「嫌いになれ」と言っているようなものです。
ですが実際にこれが日本の学校教育なのですよ。
アインシュタインやホーキングなどの一流の物理学者らが異口同音にこう言っています。
「数学は、神と人間の唯一の共通言語だ」
と。
この世界は全て数学で出来ているから、その構造を学ぶために我々も数学を学ぶ。何かを極めようと思ったら、最後には必ず数学に行き着くから数学を学ぶ。これが私の答えです。
それが試験に出るかどうかはどうでもいいのです(笑)。
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