VR解釈で量子力学を説明する その2


それでは前回の続き、”シュレディンガーの猫”の思考実験についてVR解釈を使って解説してみましょう。

もし蓋を開けた時に猫が生きていたなら、蓋を開ける前も当然ながら生きていたと考えるのが我々の日常的な感覚です。ですが量子力学によれば人間が観測するまでは放射線が出たが出ていないかは決まっていないので、猫の生死も決まっていないことになります。
なので人間が蓋を開けて観測するまでは、猫は生きている状態と死んでいる状態が重ね合わさっているとするのがコペンハーゲン解釈で、また猫が生きている世界と死んでいる世界に枝分かれするというのが多世界解釈でした。

どちらにしても奇想天外と言わざるを得ません。いえ、個人的に正直に言うならば「どちらも正気か?」と私は思います。

コペンハーゲン解釈の”猫は生きている状態と死んでいる状態が重ね合わさっている”という考え方については、それをイメージ出来る人は恐らく居ないと思います。誰もイメージすることが不可能な説明をもって果たして理解したと言えるのでしょうか?

また多世界解釈にいたっては、乱暴に言うと人間が観測するたびに宇宙のコピーが作られて世界が分かれるという、更にぶっ飛んだ説明です。(多世界解釈には細かい説明の違いはあるが、平行宇宙を認めるような説明が主)


ではこの”シュレディンガーの猫”の思考実験についてもVR解釈を使って説明してみましょう。
VR解釈では人間が蓋を開けて観測する前の猫の状態は簡単です。
猫の生死は、

未計算

です。

まだ人間が観測していないので、マスターコンピューターは放射線が出たかどうかを計算していません。よって猫の生死も未決定です。
要するに未計算なので、未決定です。

蓋を開ける前の猫についての説明は以上です。ビックリするくらいシンプルですよね?
因みに人間が蓋を開けて猫を観測した際にマスターコンピューターは波動方程式を使ったコードで放射線が出たかどうか、つまり猫の生死を計算して決定しているのでしょう。

でも波動方程式は数学的に収縮しない事が証明されているので多世界に分かれずに一つに決まる説明は矛盾するって?

おそらく波動方程式は、人間がうっかり見つけてしまったこの宇宙のマスタープログラムの直接のコードの一部です。だから複素数の様な不思議なもの入っていますね。
方程式自体が収縮しないので波動方程式はコードで収縮させている仕組みになっていると思われますが、波動方程式は物理シミュレーションではないので、これはこの宇宙の中における矛盾にはならないのです。
(因みに量子コンピューターがとてつもなく速く計算出来る理由はこのコードを直接使っているからなのですが、それについては近いうちに詳しく書きますね。(と言うか原稿は既に書き終わっていて公開の順番待ちです))

私の予想では、マスターコンピューターは乱数を使ったモンテカルロ法に波動方程式の式を組み合わせて事象を決定しているのだと思います。
と言うか、もし私がプログラマーとしてコンピューターの中に同じ世界を作るとしたらそうします。
なので波動方程式自体が収縮しなくても確率を元にプログラムコードで収縮する(決定する)ように作ってあるのでしょう。


VR解釈を使えば量子力学のやっかいな問題の説明は以上ですみます。
もちろんこの説明が正しいとも間違っているとも証明のしようがないことは分かっています。
ですがそれは今までの解釈にしても同様なのですよ。ならばオッカムの剃刀的に考えてみても、より仮定が少なくシンプルな方が良くありませんか?

それにコペンハーゲン解釈にしろ多世界解釈にしろ仮にそれらが正しかったとして、この宇宙が計算機で出来ていないとしたなら、逆に一体何で出来ているのですか? 物質ですか? 11次元のヒモですか?
だとしたら物質以外の空間や物理法則は何で出来ているのですか?
何れもその問いには答えていません。

つまりコペンハーゲン解釈にしても多世界解釈にしてもこの宇宙がコンピューターで出来ているか否かは別問題であり、要するに“不明”と言うことです。
ならばVR解釈一つだけを受け入れた方が、多世界だの重ね合わせだのといった不可解な概念(仮定)を導入する必要がないので、綺麗な説明になると思います。

「あれ? なんだか本当に宇宙がコンピューターで出来ている気がしてきたぞ」
もしそう思って頂けたなら、私の説明は成功ということです。


因みにですが、多世界解釈は数学的な矛盾はなくとも感情的に受け入れにくい解釈だとされてきました。
これについてはVR解釈も同様だと思いますが、多世界解釈とVR解釈の二つで比べたら、皆さんは感情的にはどちらが受け入れやすいですか?
私はVR解釈です。

もしも私がプログラマーとしてコンピューターの中にこの宇宙と同じVRの世界を作るとしたなら、その世界が観測のたびに無限に枝分かれしていくようなプログラムは組みません。
なぜならプログラムが複雑になることもありますが一番の理由は、もし世界を際限なく増やしていくようなプログラムを作ったら、メモリー容量もCPUパワーもどれだけあっても足りないからです。

因みにですが、実際に作られている現在の3Dゲームではプレイヤーが観測するまではあらゆる景色は未計算になっており、プレイヤーが見ていない景色も含めて全てを計算して更に多世界に分岐するような物は存在していません。

今回はイントロなのでこの辺にしておきましょう。


戻る   トップページ